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パーソナルジムの勧誘で話が違ったとき

公開

体験のあと、その場で説明を受けて契約することがあります。あとから料金表や契約書を読み直して、聞いた話と違うと気づく。

8日を過ぎていたら手はないのか。特定継続的役務提供(1か月を超えて続き、5万円を超える契約だけが対象になる決まり)には、8日とは別の道が用意されています。

勧誘のときに禁じられていること

特定商取引法44条1項が、不実のことを告げる行為を禁じています。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

「又は…解除を妨げるため」が入っているので、契約させるときだけでなく、やめようとしたときに事実と違うことを言う行為も同じ条に入ります。

続けて号が並んでいます。役務の内容や効果、購入する必要のある商品の性能や品質、対価、支払いの時期と方法、役務の提供期間、解除に関する事項。そして7号がこれです。

七顧客が当該特定継続的役務提供等契約の締結を必要とする事情に関する事項

「締結を必要とする事情」です。体の状態を実際より悪く言って、今始めなければならないと思わせる形がここに当たりうることになります。

黙っていたことが対象になる範囲は狭い

44条2項が、故意に事実を告げない行為を禁じています。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、前項第一号から第六号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない。

名指しされているのは「第一号から第六号まで」です。7号の「締結を必要とする事情」は入っていません。言われたことが違う場合と、言われなかった場合とで、当たる範囲がずれています。

3項は行為の種類が違います。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約を締結させ、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

取り消せるのは、そのうちの一部

勧誘のときにあったこと49条の2で取り消せるか

  1. 事実と違うことを告げられた(44条1項)取り消せる49条の2第1項1号。告げられた内容が事実であるとの誤認をして契約したとき
  2. 故意に事実を告げられなかった(44条2項)取り消せる49条の2第1項2号。ただし44条2項が名指しするのは1号から6号までで、7号は入っていない
  3. 威迫されて困惑した(44条3項)49条の2の対象ではない禁じられてはいるが、取消しの規定が置かれているのは1項と2項の違反
禁じられている行為と、取り消せる行為の範囲がずれている(特定商取引法44条・49条の2)

49条の2第1項がこう書いています。

特定継続的役務提供受領者等は、役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該特定継続的役務提供等契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

続く1号が44条1項違反、2号が44条2項違反です。44条3項の威迫困惑は、ここに並んでいません。禁じられていることと、取り消せることは同じ範囲ではありません。

威迫されて困惑した場合、8日のほうには別の受け皿があります。48条1項の括弧書きが、威迫によって期間を過ぎた場合に8日を数え直す形を置いています。そこはパーソナルジムのクーリングオフ条件で扱った8日の起算と合わせて読むところです。

7号の「締結を必要とする事情」だけは44条2項が名指ししていないので、そこを黙っていられても49条の2では取り消せません。ただし取消しの外側が何も残らないわけではなく、46条1項2号が括弧書きでその範囲を受けています。そこはパーソナルジムの行政処分は公表されるにまとめました。

期間は8日ではない

取消権の期間は、49条の2第2項が別の条を準用する形で決まっています。

準用されているのは9条の3第4項です。

第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。

追認をすることができる時から一年と、契約の締結の時から五年の両方があります。誤認していたと気づいた時から数え始めるので、契約した日から8日という数え方とは別です。

料金の説明が実際と違っていた場合、その気づきは請求書や契約書を読み直したときに来ます。8日はとうに過ぎていることが多く、それでもこちらの道は残っています。

取り消したときに返すもの

取り消した場合に返すものについても、準用の形で規定があります。給付を受けた当時、その意思表示が取り消せるものだと知らなかったときは、現に利益を受けている限度で返す義務を負う、という書き方です。

受けた分をすべて金銭で払い直す形ではありません。ここは中途解約の上限とは別の計算になります。上限のほうはパーソナルジムの中途解約と請求できる額の上限にまとめました。

何を残しておくか

言われたことは形に残りません。だから残せるものを残しておきます。

  1. 体験の当日に渡された資料。料金表、プランの説明、キャンペーンの条件
  2. 説明を受けた日時と、担当者の名前
  3. 契約する前に渡される書面と、契約したあとに渡される書面
  4. あとで気づいた場合、気づいた日

3番目が渡されていない場合、8日はまだ始まっていません。書面の受け取り方はパーソナルジム体験の当日にやることにまとめました。

その場で決めなくてよい理由が、条文の側にあります。持ち帰って読み直す時間を取れば、1番目と3番目を突き合わせられます。

体験に呼ばれた経路も残しておくところです。勧誘が目的だと告げられていなければ、別の条文で8日が使えることがあります。そこは無料体験の勧誘は訪問販売になることがあるにまとめました。

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。

まとめ

  • 44条1項は不実告知を禁じ、7号に「締結を必要とする事情」が入っている
  • 44条2項の不告知が名指しするのは1号から6号までで、7号は入っていない
  • 44条3項は威迫困惑を禁じているが、49条の2の取消しの対象には並んでいない
  • 49条の2で取り消せるのは、44条1項違反と44条2項違反による誤認
  • 期間は追認をすることができる時から一年、契約の締結の時から五年

出典