パーソナルジムの中途解約と請求額
8日のクーリング・オフの期間を過ぎたあとでも、特定継続的役務にあたる契約なら、途中でやめること自体はできます。そのとき事業者から請求される金額には上限があって、その上限は条文で決まっています。
このページは、その上限がどう決まるかだけを扱います。契約書に書かれた違約金の額が、上限を超えていないかを自分で確かめられるようにするためです。
途中でやめる権利
特定商取引法49条1項は、契約書面を受け取った日から8日を過ぎたあとについて、こう定めています。
将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる。
「将来に向かつて」なので、すでに受けたぶんは戻りません。これから先のぶんをやめるになります。特定継続的役務にあたる契約であれば、この権利があります。
上限は契約書より強い
同じ49条の2項に、請求できる金額の上限があります。
役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
読むべきは「損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても」の部分です。契約書に違約金がいくらと書いてあっても、この上限を超える請求はできません。
上限の中身
条文は金額を政令に委ねていて、施行令の別表第四に書かれています。体型を整えたり体重を減らしたりする施術の場合、通っている途中でやめたときの上限はこうなります。
二万円又は当該特定継続的役務提供契約に係る特定継続的役務の対価の総額から提供された特定継続的役務の対価に相当する額を控除した額(以下この表において「契約残額」という。)の百分の十に相当する額のいずれか低い額
長いので分けます。
- **契約残額(まだ受けていないぶんの代金)**は、支払う総額から、すでに受けたぶんの対価を引いた金額
- その契約残額の10%を出す
- 2万円と比べて、低いほうが上限
これに、すでに受けたぶんの対価が加わります。まだ1回も通っていない場合は別の欄が使われて、その上限は2万円です。
数字を入れてみる
月額33,000円で12か月の契約を、3か月通ったところでやめる場合を考えます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 対価の総額 | 396,000円 |
| すでに受けたぶん(3か月) | 99,000円 |
| 契約残額 | 297,000円 |
| 契約残額の10% | 29,700円 |
| 2万円と比べて低いほう | 20,000円 |
このとき請求できるのは、すでに受けたぶんの99,000円に20,000円を足した金額までになります。契約残額が20万円を超えていれば10%は2万円を超えるので、上限はたいてい2万円のほうになります。
なお入会金の扱いは契約ごとに違います。契約書面と概要書面(契約する前に渡される、料金と解約の条件を書いた書面)に何と書かれているかを見てください。
契約書の違約金が上限を超えていたら
契約書に「途中解約の場合は残りの月会費を全額お支払いいただきます」と書かれていることがあります。特定継続的役務にあたる契約であれば、この定めがあっても、条文の上限を超える請求はできません。
そういう記載を見つけたときにできることは2つです。1つは、その条項が上限を超えていないかを自分で計算して確かめること。もう1つは、契約書面を持って消費生活センターに見てもらうことです。どちらも契約する前にできます。体験の日に契約書面を受け取ったら、その日のうちに解約の欄を読んでおくと、あとで慌てずに済みます。
数えるのは月数ではなく対価
計算のもとになるのは、通った月数ではなく、すでに提供された役務の対価です。月会費として払っている形なら月数で割った金額になりますが、回数券のように回数で決まっている契約では、使った回数で計算します。
自分の契約がどちらの形になりいるかは、契約書面の「役務の対価その他の支払わなければならない金銭の額」と「役務の提供期間」の欄で分かります。ここが分からないときは、事業者に計算の内訳を出してもらってください。
上限があることと、0円になることは違う
「途中でやめれば何も払わなくていい」ではありません。すでに受けたぶんの対価は払います。そのうえで、それに上乗せできる金額に上限があります。
通う前にやめる場合
一度も通わないうちにやめる場合は、別の欄が使われます。別表第四の同じ項目には、契約の締結と履行のために通常必要になる費用の額として 2万円が書かれています。
つまり、まだ役務が始まっていなければ、上限は2万円です。ここでもすでに払ったお金がある場合は、その差額が戻る計算になります。
一緒に買った商品はどうなるか
プロテインやウェアなど、その役務を受けるために買う必要があるとされた商品は、条文で「関連商品」と呼ばれます。関連商品の売買契約も、本体の契約と一緒に解除できる仕組みがあります。
ただし使ってしまった商品や、開けてしまった商品には例外の定めがあります。手をつける前に、返せるものかどうかを契約書面で確かめてください。
やめさせないための説明は、禁止されている
特定商取引法44条1項は、事業者の行為をこう制限しています。
役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
勧誘のときだけでなく、「解除を妨げるため」の説明も対象になっています。やめたいと伝えたときに事実と違う説明をされた場合は、その場で決めずに持ち帰ってかまいません。
記録を残す
解除は書面か電磁的記録で行うことになっています。電話で伝えただけだと、いつ伝えたかが残りません。日付が分かる形で送って、控えを取っておくと後の話が早くなります。
計算が合わないと思ったときは、消費者ホットライン188に契約書面を持って相談できます。
線そのものの引き方はパーソナルジムのクーリングオフ条件、総額の出し方はパーソナルジムの料金と相場の見方にあります。