もみほぐしに資格が要るかは条文に書かれていない
もみほぐし、リラクゼーション、ボディケア。看板の言葉はいろいろで、料金も60分3,000円台から1万円超まで幅があります。
この言葉の違いが、法律の側の区分と対応しているとは限りません。条文を開くと、どちらの語も出てきません。
免許が要ると書かれているのは、5つの行為
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の1条です。
医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
並んでいるのは、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅうです。もみほぐしも、リラクゼーションも、整体も、この条文には出てきません。
同じ法律の12条が、その外側を受けています。
何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。
医業類似行為という語が置かれているだけで、何が当たるのかは書かれていません。13条の7第1項は、1条違反と12条違反をどちらも五十万円以下の罰金の対象にしています。
どこからがマッサージかは、条文が決めていない
つまり条文が置いているのは、免許の要る行為の名前と、その外側を禁じる言葉までです。手で体に触れる行為のうち、どこからがマッサージなのかは書かれていません。
だから店の名前や施術の呼び方から、免許の有無を読み取ることはできません。「もみほぐし」と書いてあっても免許を持つ人がいることがあり、逆もあります。
免許のある施術所は、広告できることが限られている
見分ける手がかりは、施術の名前ではなく広告の側にあります。7条1項です。
あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。
「左に掲げる事項以外の事項について」なので、書いてよいものが決まっている形です。並んでいるのは、施術者である旨と氏名・住所、法が定める業務の種類、施術所の名称・電話番号・所在の場所、施術日または施術時間、そして厚生労働大臣が指定する事項です。
さらに7条2項があります。
前項第一号乃至第三号に掲げる事項について広告をする場合にも、その内容は、施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。
技能・施術方法・経歴に及んではならないとされています。独自の手技の名前、実績年数、症状が良くなるといった説明は、この条文の下では出せません。
広告に出ているものそこから読めること
- 施術者の氏名・業務の種類・所在地・施術時間だけ7条1項の範囲に収まっている免許を要する施術所は、この範囲を超えて広告できない
- 独自の手技の名前や、経験年数が大きく出ている7条2項が禁じている事項にあたる技能・施術方法・経歴に関する事項。免許を要する施術所の広告には置けない
- 効果や症状の改善をうたっている7条の範囲の外にある特定継続的役務にあたる契約なら、特定商取引法43条の誇大広告の禁止も重なる
届出と検査の仕組みが、片側にだけある
広告のほかにもう1つ、免許の要る側にだけ置かれている仕組みがあります。9条の2第1項です。
施術所を開設した者は、開設後十日以内に、開設の場所、業務に従事する施術者の氏名その他厚生労働省令で定める事項を施術所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。その届出事項に変更を生じたときも、同様とする。
開設の場所だけでなく、業務に従事する施術者の氏名まで届け出ることになっています。休止・廃止・再開も同条2項が10日以内の届出の対象にしています。
そのうえで10条1項があります。
都道府県知事は、施術者若しくは施術所の開設者から必要な報告を提出させ、又は当該職員にその施術所に臨検し、その構造設備若しくは前条第二項の規定による衛生上の措置の実施状況を検査させることができる。
報告を求めることと、施術所に立ち入って検査することの両方が置かれています。免許の要る施術所は、この届出と検査の仕組みの中にいます。
ただし、届出があることと施術がうまいことは別です。届出は場所と氏名を行政が把握するためのもので、技能を審査する仕組みではありません。
秘密の扱いにも条文があります。7条の2は、施術者が正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らすことを禁じていて、施術者でなくなった後も同じだとしています。体の状態や悩みを話す場面があるので、ここも免許の要る側にだけ置かれている決まりです。
読者の側からできること
免許の有無そのものは、店頭で確かめることになります。免許を持つ人は、氏名と業務の種類を出せます。
- 施術者の氏名と、業務の種類が出ているかを見る
- 出ていないなら、その施術が何にあたるのかを聞く
- 体の不調を治す目的なら、まず医療機関にかかる
3つ目が大事なところです。痛みや不調があるときに、それを施術で解決しようとする契約は、この法律だけの話では収まりません。
料金と契約の側は別に見ることになります。回数券を先に買う形ならヘッドスパの回数券は1か月と5万円で変わるの線が当たるかを見ます。効果をうたう広告については、特定商取引法43条の誇大広告の禁止が重なることがあります。そこはパーソナルジムの誇大広告は何が禁止かにまとめました。
契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。
免許のある施術者による施術は、所得税法施行令207条四号にも名前が出てきます。医療費控除の側から見た線引きはパーソナルジムの料金は医療費控除の対象かにまとめました。
まとめ
- 1条が免許を要求しているのは、あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう
- もみほぐし、リラクゼーション、整体という語は条文に無い
- 12条は医業類似行為を禁じているが、何が当たるかは書かれていない
- 7条1項は広告できる事項を限っていて、2項は技能・施術方法・経歴に及ぶことを禁じている
- 9条の2は施術所の届出を、10条は都道府県知事による臨検検査を置いている
- 施術の呼び方からは免許の有無を読み取れない。氏名と業務の種類が出ているかを見る